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古書店 一馬書房

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古書店 一馬書房

2019/06/28 19:12

 こんにちは、一馬書房です。今日は古本市のレポートをお届けします。店主は大阪在住なので、関西圏の古本市にはよく顔を出します。大抵、本棚をじいっと見ながら、気になったタイトルの背表紙の角を人差し指ですっと抜き、帰る頃にはひとり内心にこにこしながら、ショルダーバッグの蓋を閉めて家路に就きます。学生の頃は東京に居たのですが、自分のかつて住んでいた地域では古本市は定期的に催されるものではなく、買い物帰りに駅前に向かったら、商店街のアーケードで偶然出くわす、ぐらいのものでした。それも年に一度か、二度のこと。古本市は割と非日常の世界にありました。ところが、かくかくしかじかの事情がありまして、実家のある大阪に戻ってきて、このオンライン古書店をはじめようという頃に、わりと結構な頻度で古本市が開催されていることに気づきました。本格的に回り始めたのは、大阪に戻って少し生活が落ち着き始めた、いまからちょうど二年前くらいの夏でした。

 大阪の古本市はぱっと思いつくだけでいくつもあって、四天王寺でシーズン毎に開催される大古本市、大阪ビジネスパーク・ツイン21の即売会、中之島・水の都の古本市、大阪天満宮・天神さんの古本市……とイベント的に開催される古本市を数えただけでも、かなりの数があります。京都の下鴨や兵庫・奈良の古本市などもちょっと足を伸ばして含めると、実は大阪近郊在住だと、ほんとうに月に一、二度ほどのペースで古本関連のイベントはやっているんじゃないか、という感覚です。これらに加えて、月一ペースで定期的に開催されている古本市があります。それが大阪古書会館で開催されている、『たにまち月一古書即売会』です。

 場所は地下鉄、大阪メトロ中央線・谷町線の『谷町四丁目』駅と『谷町六丁目』駅の間にあり、私はいつも谷町四丁目駅を降りて会場に向かいます。地下鉄の地上出口を出て、ビジネス街のある大通りを抜けて南に直進し、路地を一本入ったところに古書会館があります。はじめて行ったときも、迷子になって中々たどり着けない、ということはなく、Googlemapを見ながらの初見でも15分程度を見積もっておけば、ほぼ確実にたどり着けます。何度か通っている内に位置を覚えると、下車徒歩数分で会場に向かえるようになりました。

 先月の五月度と今月の六月度と立て続けにたにまち月いち古書即売会におじゃましたのですが、古書会館の中はすごく落ち着いた雰囲気で、棚に並んだ一冊一冊の古本と静かに向き合えるような(手に汗握る夏の青空古本市も魅力ですが笑)、そんな時間を過ごせる市になっていました。今月は初日の夕方頃に会場に入って一時間半ほど見て回って帰ったのですが、館内で本を選んでいると外では雨が降り始め、だったらもう少し会場に居るのもいいやと、のんびり本の頁を繰っていました。窓の向こうのアスファルトに打ち付ける雨を、本から顔を上げてまた眺めながら、まだ知らない本を探して回るのも中々、古本風流だなと勝手に思いながら。

 今月は海外文学を主に扱っている寸心堂書店さんが開業記念日(ブルームズデー)を迎えられたということでジョイス特集の棚を組まれていたので、それをひとつお目当てに行きました。新潮の丸谷才一訳の『若い芸術家の肖像』、それから同じく新潮の柳瀬尚紀訳の『ダブリナーズ』は文庫で持っていたのですが、岩波版の訳はまだ持っていなくて、記念に二冊ありがたく購入しました。また哲学を現代にわかりやすく解説しているブロガーの飲茶さんの『史上最強の哲学入門』も偶然見つけた(なぜこんなところに笑)ので一緒に購入して楽しく読んでいます。またシャーロック・ホームズ関連の本を並べられていた古書ディックさんの棚からシャーロッキアン向けのホームズ本を二冊。最後にちらっと頁を繰ってみて、どうしても気になってしまったボルヘスの貴重な講義録集を矢野書房さんから一冊購入して、大事に家に持って帰りました。

  

 (上記写真:六月のたにまち月一古本市で買った本たちをぱしゃり。並べて撮るときに、なんとなく集合写真でも撮っているようなノリになるのは僕だけなんですかね笑)

 古本市に通っているのは、とくにこのオンラインのお店に並べるためではなくて(仕入れは新古書店など、別のところで行っているので)、個人的な趣味や興味関心のために蔵書にしようと古本を買いに行っているのですが、やっぱり純粋に楽しくていいです。こんな風に本を並べられているのか、とか、自分が少しは知っているかなと思っていたジャンルで見たこともない本に出会ったりするのも、自然に学べることもあったりするので、一石二丁、三丁ぐらいのものが古本市にはあります。月に一度、財布の野口英世を三枚だけ握りしめて(三千円)よく会場に向かいますが、ここで逃したらもう二度と会えないんじゃないか、という古本との緊張感のある出会いは、いつでもどこにでもある新刊書店では、決して味わえないような面白味があります。

 一馬書房のご報告というよりはただの本好きのブログ記事ですが、古本や古本市の愉しさに少しでも触れて貰えるように、というつもりで書いておりますので、今後も古本市レポートはお届けします。お許しください笑

 最後にひとつだけ一馬書房からの連絡ですが、前回の記事でもお伝えいたしましたように、運営方針が変更となった為、公式Twitterアカウントに関しましてはリニューアルの意味も含めて、近日中に一旦削除させていただきます。次回の公式アカウント再開については未定ですが、準備が整い次第という運びになります。この本店サイト(BASE店)はより店主の趣味的なオンライン文芸活動の一環としての運営となりますので、それに伴ってTwitterについても整理をするという形です。一馬書房の営業につきましては、不定期更新とはなりますが、現在も変わらず営業中ですので、小説家を目指す人のための本棚としてお使いいただければ、嬉しく思います。

 それでは、また。

 店主