限りなく透明に近いブルー 村上龍著 (文庫本)
「限りなく透明に近いブルー」村上龍著 新装版 講談社文庫(2009) 文庫本 164頁 状態:A(美本)
<裏書き・引用>
米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! <群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作>
<店主・コメント>
「僕」は現実の様相をただ、「見ている」。潰れた虫の体液、腐敗した果実、乱れる群衆。向こう側の喧噪と手元にある静寂。目に入ったあらゆる事物を処理するだけの世界。そこへやってくる「鳥」は「僕」の理性に何を訴え、どんな感情を呼び起こそうとするのか。荒廃した生活と歪んだ現実の輪郭をひとつひとつ結んだ先に浮かび上がる実像。それがどんな形を取るかは、もしかすると読み手である「あなた」自身の眼の方にこそ、問われているのかもしれません。