コップとコッペパンとペン
「コップとコッペパンとペン」福永信著 河出書房新社 単行本(2007) 152頁 初版 状態:A(美本 帯付き)
<帯文・引用>
これはじつにおもしろい文学の本だ――阿部和重
1行先も予測できない!現代非人情物語。
<店主・コメント>
1行先も予測できない、と帯文に書かれてありますが、全く誇張ではありません。表題作を読むと、はじめは洒落た感じのいかにも純文学調の物語だと思って読んでいたら、途中でとんでもないナックル・ボールを腸に喰らった感じがします。チェンジアップも剛速球も同時に飛んでくる感じなので全く予想していない角度から話が飛んできます。でも、最後はきっちりストライクに収めてきてくれる。但し、謎が多いのでそれを解くのに苦労します。正直、読み終えて全てが解けた感じはしないのですが、謎は謎のままでもいいのかもしれません。複雑に絡まったロープが一本のロープで出来ているのか、複数のロープなのか分からないように。それでも納得してしまう福永信の物語に完敗です。こういう文章もありなのか、と物書きの幅を広げてくれるお話です。