『錬金術 タロットと愚者の旅』R・ベルヌーリ著 種村季弘訳
『錬金術 タロットと愚者の旅』R・ベルヌーリ著 種村季弘訳 昭和47年刊 初版 211頁 状態:B(古本として並のコンディション。特殊カバーにヨゴレ・破れが僅かにあります。本文・小口・天地は綺麗な状態です。自然な経年ヤケあり。帯付き)
<本文より>
どうやら存在に基盤をおく「思想」からすれば、遊戯、あやかし、詐欺、でまかせ、虚言としか見えない「無思想」であるような思想があるらしいのだ。「小さな輪」はパスカルとドストエフスキーにとっては歴とした思想であった。ポオとトーマス・マンにとっては詐欺が、ワイルドにとっては虚言が、好奇燦然たる思想であった。タロット=原書物が発端の前と終末のあとにめぐり逢うのも、この零、存在とけっして同化することのない永遠に流浪するドンキホーテ的な愚者の原理である無知である。
<店主ひとこと>
久々に入荷しました魔術本です。そのまま読めば何のことやら? と感じるオカルト系列の本ですが、タロットやカバラなどの知識をちょっと囓っていると、案外、面白く読めてしまうと思います。こういうものはロマンと割り切って覗いてみるのが一番いいかもしれません。思いも掛けなかったイメージが膨らんできて、小説の執筆に活かせるかもしれませんよ。不可思議な図像も沢山あって、想像力をかき立てられることうけ合いです。タロットに親しんでいるひとには再発見があるでしょう。