人工楽園 シャルル・ボードレール著 渡辺一夫訳
「人工楽園」シャルル・ボードレール著 渡辺一夫訳 角川書店 1955 重版 229頁 状態:B’(良好 頁左上に僅かな折れ)
<梗概・引用>
酒、ハシッシ、阿片。現実から遠ざかる手段として、これらの刺激剤は19世紀の文人たちをおおいに魅了した。象徴派の巨人ボードレールが神をも恐れぬ陶酔と覚醒のなかで、その効果と害毒を冷徹に見つめる。禁断の麻薬白書。
<店主・コメント>
梗概を見ただけで、現代では禁断の果実のようになっているワードが転がっていますが、ボードレールの透き通るような頭脳で書かれたこの文章は、やはり読んでいて痛快です。おそらく酒や麻薬を呑みながら書いたのではないかと思えるほど(真偽のほどは知りません)軽快でありながら明晰なボードレールの文章には魔力のように惹き付けられるものがあります。冒頭を読んだだけでも、この本面白そうだなと思える、非合法級の魅力が詰まった一作。物書きの方は、十九世紀を描写する上での資料ともなるかもしれません。