天使よ故郷を見よ(上下巻セット)トマス・ウルフ著 大沢衛訳 (文庫本)
「天使よ故郷を見よ(上下巻セット)」トマス・ウルフ著 大沢衛訳 新潮文庫(1955) 文庫本 復刊本
・上巻 重版(1993年14刷) 470頁 状態:A(美本 帯なし)
・下巻 重版(1993年11刷) 484頁 状態:C(並下 ※本文最初の数頁、左下部にシミがあることにご留意ください。通読に問題はありませんが、その部分にのみ波打ちが見られます)
<裏書き・引用>
20世紀初頭のアメリカ。放浪の果て南部の小都市に移り住み、精神的飢餓感から酒に耽溺する放埒な父親と所有欲の強い凡庸な母親。両者の相矛盾する血の呪縛、そして頑迷固陋(ころう)な土地の桎梏(しっこく)から逃れ、精神の絶対的自由を求め苦闘するユウジーンの成長と挫折を描く、雄渾な長編自伝小説。
<店主・コメント>
トマス・ウルフという作家をご存知でしょうか。20世紀アメリカを代表する作家のひとりですが、日本ではあまり知られていません。邦訳された作品が少なく(個々の作品の分量が長大な為、おそらく翻訳されにくかった)代表作として邦訳を一般に入手できるのは、この『天使よ故郷を見よ』のみです。生涯に膨大な量の文章を書いた作家として知られ、スクリブナーズ社に木箱何箱分もの原稿を持ち込んだことや、身長が2m近くあり冷蔵庫の上で執筆をしていた、などの逸話が数多く残っている作家です。アメリカでフィッツジェラルドらを担当した伝説の編集者、マックスウェル・パーキンズと深い関わりがあり、この辺りのことは2016年に公開された映画「ベストセラー」でも取り上げられました。映画原題Geniusは天才を意味しますが、彼のような作家に相応しい言葉です。公開直後は入手困難となっていたこの原作ですが、入荷致しました。
内容は、旧い言葉で翻訳されている部分もあるので少々読み難い面もあるかもしれませんが、トマス・ウルフの圧倒的な比喩と形容の連続には、誰も追い付くことができないものがあります。スケールは正に20世紀アメリカそのもの。
新潮文庫の版は復刊本を含めて既に絶版となっている為、この価格での販売となります。下巻の状態が少し悪いので、状態に神経質な方は予めご留意願います。通読することに問題はありません。