「ブエノスアイレス午前零時」藤沢周著　河出書房新社(1998) 単行本　146頁 初版 状態 ：A（美本）

　＜帯文・引用＞
　場末の温泉旅館にブエノスアイレスの雪が舞う――老嬢と青年の孤独なタンゴに幻滅とパッション、リリシズムと幻想が交錯する胸うつ名作。
　人間にとって重要なものがすべてここにある　（石川忠司氏「文学界」９８年６月号）

　＜店主・コメント＞
　温泉旅館に勤める主人公カザマのもとに、社交ダンスの団体客がやってくる。その中に現れた不思議な老嬢。彼女が断片的に口にする過去の記憶に惹き付けられたカザマは、その向こうにある、彼女自身がうまく取り出せないものを想像する。海の向こうの異国を映す幻想的な情景。第１１９回芥川賞受賞作。