イデアの影 森博嗣著 (単行本)
「イデアの影」森博嗣著 中央公論新社 単行本(2015) 初版 233頁 状態:A(美本)
<店主・コメント>
理系ミステリ作家、と聞けば知らないひとはいない森博嗣。代表作『すべてがFになる』でメフィスト賞を受賞し、第一回受賞者として鮮烈なデビュー。この作品は谷崎潤一郎没後50年記念作品。実は、森は日本人作家の中で谷崎を最も多く読んだということが美しい装丁のカバー帯(付いてます)の中で明かされている。デビュー作から芯の通った森博嗣の哲学観と、十九年目の詩的な文章の筆致をお楽しみ下さい。帯の文章が素晴らしいので私が言うことはこれ以上ありません。以下、掲載。
<帯文>
墓標はなにも語らない。言葉がいらないことが、美しさと正しさを物語っている。羊飼いのラッパを聴いてごらん。それは、みんなの命をつないでいる。だから、迷っている命が集まってくる。愛情とか欲望なんて、土の中へは持ち込めない。悲しみだっていらない。静かにじっとしているのに、そんなものは余分なんだ。そうでしょう?