八月の路上に捨てる 伊藤たかみ著 (単行本)
「八月の路上に捨てる」伊藤たかみ著 文藝春秋刊 単行本(2006)122頁 初版 状態:A(美本 帯あり)
<帯・解説>
第135回、芥川賞受賞作。
人間の妙味の豊かさには尋常ならぬものがある。(河野多恵子氏)
券売機で切符を買うとき、十円が足りなかった。敦の財布には一万円札だけが入っていて、目の前の機械には投入できない。おたおたとしていると、知恵子が脇から十円を入れてくれた。離婚届を提出にいく駄賃だと言う。十円かよとふざけてみせたら、そうだよと知恵子が笑った。その表情で一日をまとめた。
最後に見た彼女の顔だった。 (帯掲載・本文より)
<店主・解説文>
八月の路上に捨てたのは、汗で流した夢だけではなかった――。