「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年」J・D・サリンジャー 金原瑞人訳(単行本)
新潮社(新潮モダン・クラシックス)2018刊(初版) 帯付き 255頁 状態:B +(古本として良好な保存状態。天にわずかな赤いインク染みの跡と、小口にヨゴレ少があります。いずれも軽微なもので、本文、カバー表紙は非常に綺麗なコンディションです)
<梗概>
この小説で作家(サリンジャー)の伝説は完成した。『ライ麦』のホールデン少年登場の連作、そして<グラース家>をめぐる謎めいた最後の作品。もうひとつのナイン・ストーリーズ。このインチキな世界で、サリンジャーが愛し守った、傷だらけのイノセンス。入手困難な短編を集成した、繊細な魅力あふれる作品集。「バナナフィッシュにうってつけの日」で自殺したシーモア・グラスの手紙という形を取る「ハプワース16、1924年」を最後に、作家は長い沈黙に入った。
<店主ひとこと>
ここに収められている短編はすべてサリンジャーの初期短編にあたります。実は本国アメリカではサリンジャー本人が初期短編の刊行を差し止めしているので、こうした本の形で読むことができないんです。日本では翻訳の関係で事情が異なっていて、幸いというべきか、これらの初期短編を単行本で読むことができます。なので、この本を読むことができるあなたはもうすでにそれだけでラッキーです。
「マディソン・アヴェニューのはずれでのささいな反抗」「ぼくはちょっとおかしい」など、『ライ麦』ファンには嬉しい、ホールデン絡みの話が六つも入っています。サリンジャーは元々、短編小説を得意とするタイプの作家で、これらの短編を原型にして唯一の長編である『ライ麦畑でつかまえて』を制作したと言われています。
僕はこのホールデン絡みの短編の連作を見ると、何故だかわかりませんが、いつも少し目頭が熱くなります。
「ハプワース16、1924年」の内容はかなり難解になっていますが、「謎ときサリンジャー」という本のなかで、実は注意深く読めばこの本のなかに「バナナフィッシュ」に繋がるヒントが隠されていると言われています。