「絶望図書館」頭木弘樹編(文庫本)
筑摩書房(ちくま文庫) 2017刊 重版 363頁 状態:A(美本。本文、小口、天地、カバー、確認する限り問題なし)
<梗概>
気持ちが落ち込んで、どうしようもない。はげましの言葉も心に届かない。そんなときは、絶望図書館を訪れてみよう。そこには世界中からさまざまなジャンルの物語が集めてある。せつない話、とんでもない話、どきりとする話など、すべて、絶望した気持ちに寄り添ってくれるものばかり。今の気持ちにぴったりな物語がきっと見つかる。こんな図書館も世の中にひとつくらいはあっていいだろう。
<店主ひとこと>
絶望、をテーマに据えたアンソロジーです。著者の頭木弘樹さんは二十歳のときに難病にかかり、十三年間の闘病生活を送った際に、カフカの物語に救われたことがあると話されています。就職も大学院進学も諦めて親に面倒をみてもらいながら一生を送るしかないと宣告され、絶望の中で入退院を繰り返されたそうです。病室で頭木さんが他の患者さんたちとドストエフスキーの本を回し読みしたというエピソードをとある記事で読んだ時、胸が打たれるような思いがしました。その後で、この中に収められたいくつかの短編を読みました。決して明るい話ではありません。でも希望がないことが希望であるような瞬間がこの本の中にはあるのです。