「中原中也詩集」大岡昇平編(文庫本)
岩波文庫 1981刊(2007重版)509頁 状態:A(美麗本、本文・小口・天地・カバー、いずれも問題なく良好)
<梗概>
中原を理解することは私を理解することだ、と編者は言う。こうして飽くなき詩人への追及が50余年にわたって続く。ここにその成果を総決算すべく、中也自選の『山羊の歌』『在りし日の歌』の全編と、未完詩篇から60余篇を選んで一書を編集した。読者はさまざまな詩に出会い、その底にある生のかなしみに心うたれるに違いない。
<店主ひとこと>
30歳で夭折した詩人、中原中也の詩集。生前、中原中也は周囲の手を焼くような文学青年だったようですが、世を去るときに母親のフクに向かってこう言ったというエピソードが残っています。「お母さん、僕はほんとうは孝行息子だったんですよ。いまにわかるときが来ます」。またそのフクもこのような言葉を残しています。「私には中也の詩だけは妙によくわかるのです。文学者のわからないところでも、よくわかるところがあるのです。」その言葉通り、中原中也の詩は後世に残り、出身の山口には記念館が建てられるまでになりました。