『ロートレアモン全集』イジドール・デュカス(ロートレアモン伯爵)著 石井洋二郎訳 (文庫本)
『ロートレアモン全集』イジドール・デュカス(ロートレアモン伯爵)著 石井洋二郎訳 (文庫本) ちくま文庫 503頁 2005刊 初版 状態:B(古本として良好なコンディション。カバーに擦れ・僅かにヨレあり。小口・天地・本文、確認しました。いずれも問題ありません。カバーを除き、比較的綺麗な保存状態。)
<梗概>
残虐な暴力が炸裂する悪夢さながらの光景、静かにたちのぼる祈りにも似た慰藉の響き――いまなお強烈な毒を孕んだ麻薬的魅力で人を惹き付けて放さない『マルドロールの歌』、深い謎を秘めた『ポエジー』など、モンテビデオに生まれ、パリで短い生涯を終えた詩人の極限に紡がれたテクストを、清心な訳でおくる。最新の研究をふまえたコンパクトな注解を付す。
<著者>
ロートレアモン(Lautreamont)
本名、イジドール・デュカス。1846年、南米ウルグアイの首都モンテビデオ生まれ。南仏のタルブとポーの高等中学校で学んだ後、パリに上京。「ロートレアモン伯爵」の筆名で特異な散文作品『マルドロールの歌』を刊行。他に断章集『ポエジーⅠ、Ⅱ』および数通の書簡を残し、24歳で死去。生前はまったく無名であったが、20世紀になって再発見され、今日ではランボーなどと並ぶ最も重要な詩人のひとりとして熱狂的な読者の支持を受けている。
<店主ひとこと>
ひとことで言うと、危うい本です。それも非常に危うい。ここまで毒気や瘴気のある文章ってあまり見たことがありません。怖いもの見たさで、何気なく手に取ったのですが、読んでいる途中で段々と狂気に引きずり込まれてしまって、思わず本を閉じてしまいました。精神的に余裕があるときにだけ、読んだ方がいいかもしれません。著者も大多数の読者に向かって、前文で警告しています。『踵を返せ。前進するな』と。ただ一方でこうもいいます。『数人のものだけが、この苦い果実を危険なしに味わえるであろう』と。謎多きロートレアモン伯爵のすべてがこの一冊の全集に詰まっています。資料として貴重な肖像画と書簡付き。